lowlights

和歌連䜜・第䞃䜜

色に出づ

Iro ni Izu

隠すこずず挏れるこずの千幎

Shown in the Face — four bouts of hiding and leaking, and an empty judge's seat

恋すおふわが名はただき立ちにけり人知れずこそ思ひそめしか

壬生忠芋

忍ぶれど色に出でにけりわが恋は物や思ふず人の問ふたで

平兌盛

倩埳四幎内裏歌合 二十番「恋」960ずもに『拟遺和歌集』恋䞀

入力䞭 

新題詞——打぀前から、挏れおいる

番の察峙

隠そうず決めた瞬間から、挏れ始める——巊が隠し、右ぞ滲む。刀者の垭だけが、最埌たで空いおいる。

巊  隠す偎 右  挏れる偎 刀者の通路 䞀番・巊 色 䞀番・右 立぀名 刀詞䞀 垝の気色 二番・巊 無名 二番・右 手蹟 刀詞二 䞖間の沙汰 䞉番・巊 墚 䞉番・右 行間 刀詞䞉 胞の内無聎衆 四番・巊 鍵 四番・右 痕 刀詞四 敎列沙汰なし 埋め声浮䞊䞭 持 刀者の座空垭

Jo

これは和歌連䜜の第䞃䜜。源歌は䞀銖ではなく、䞀番ひず぀がいである。倩埳四幎九六〇䞉月䞉十日、村䞊垝の内裏歌合、最終二十番「恋」——巊・壬生忠芋「恋すおふ」、右・平兌盛「忍ぶれど」。刀者は優劣を決めかね、垝がかすかに「しのぶれど」ず口ずさんだ気色で勝敗が決した。隠しごずの歌合が、刀者の偎の挏れで裁かれた。

䞻題は〈隠すこずず挏れるこずの千幎〉。蚀葉は、隠そうず決めた瞬間から挏れ始める。顔が蚀う。名が走る。筆の癖が名乗る。塗った墚が堎所を教える。空癜が読たれる。䞭身を完党に封じおも、殻がすべお語る。本䜜はこの軍拡競争を、時代ごずに䞀番隠す偎の歌巊×挏れる偎の歌右で組んだ。四぀の番ず、勝敗の぀かない䞀曲——持。

芏埋をひず぀。露芋や勝敗の断蚀は、各番の右歌の末尟に眮いた刀詞はんしのパヌトでしか行わない。歌の本䜓は城候——色・音・痕・間——だけで進む。そしお刀詞を䞋す者は曲ごずに衰えおいく。垝の気色、䞖間の沙汰、誰にも聞かれない自認、語圙を持たない敎列。最埌の垭が誰のものかは、聎き終えたずきに分かる。

もうひず぀、この連䜜自身にも隠しごずが䞀぀埋めおある。䞀曲目から。聎いおから、読んでください。各曲末の線泚は皮明かしです。

䞀番・巊

色

平安・九六〇忍ぶ恋。顔が先に蚀っおしたう。「物思いか」ず問われるたで。

挏れ口顔採音心音刀詞ただない

Intro
心音。ほんの少し、速い
倜明け前。鏡の前。ただ誰も起きおいない
——ミックスの奥で、囁きがひず぀。聞き取れない
Verse 1

倜明け前に 鏡ず諮る
今日の顔は どこたで保぀か
癜いものを 刷いお 刷いお
血の色の䞊に 雪を降らせる
名を呌ばれたら 半拍おいお
なんでもない目で 振り向く皜叀

Pre-Chorus

胞の奥で 倪錓がひず぀
誰にも貞した芚えのない倪錓が
勝手に 速くなる

Chorus

忍ぶ、ず決めたのは わたしなのに
頬は わたしの家来じゃない
火照りは 癜さの䞋を通っお
勝手に 衚ぞ 出たがる
蚀葉なら 呑み蟌めるのに
色には 呑み蟌む喉がない
静かにしお 静かにしお
——お願い 顔

Verse 2

灯りをひず぀ 暗くしお座る
明るい顔は 読たれやすいから
扇のかげに 口もずを眮く
笑っおもいないのに 隠す癖が぀く
座の話に あの名が出るたび
袖の䞭で 指を折る
数えおいるのは 萜ち着くため
それだけ それだけ

Pre-Chorus

胞の倪錓が 衣の䞋で
打぀手を 匷くする

どうか 倖たで 聞こえおいたせんように
Chorus

忍ぶ、ず決めた その日から
䜓じゅうが 密告者
耳たぶ うなじ 声の継ぎ目
どこもかしこも 蚀いたがる
蚀葉なら 遞べるのに
血は 遞ぶ前に 巡っおしたう
静かにしお 静かにしお
——お願い 顔

Bridge

眠っおいるあいだの顔は
誰が 芋匵っおいおくれるの
倢の䞭でたで 䌏せおいられる目を
わたしは ただ 持っおいない
隠すこずに 䌑みはなくお
隠しごずは わたしより 働き者

Outro
衣擊れ。誰かが、近くに座る

几垳ごしの なにげない声——
「  顔色が い぀もず違う。
 なにか 思うこずでも」

心音。ひず぀、ふた぀、みっ぀——
切れる
䞀番・右

立぀名

平安・九六〇噂の芖点。打ち明ける前に、名前だけが郜を走る。刀詞䞀垝の気色。

挏れ口名採音ひそめ声刀詞垝の気色

Intro
し、 し、 ず——歯擊れの音が走り出す
ねえ、聞いた聞いた、聞いた
Verse 1

わたしは名前 あなたの名前
倕べ 扇のかげで 䞀床だけ呌ばれお
それで生たれた もう戻れない
口から耳ぞ 耳から口ぞ
乗り継いで 郜を枡る
あなたが眠っおいるあいだも

Pre-Chorus

文より速い 車より速い
倜明けより速く 門をくぐる
本人より先に 着いおしたう

Chorus

立぀ 立぀ 名が立぀
あなたはただ 䜕も蚀っおいないのに
立぀ 立぀ 名が立぀
打ち明ける蚀葉は ただ胞の䞭なのに
わたしは走る 軜いから
䞭身を知らない 名前だから
恋、ず誰かが蚀い添えお
今倜も ひず぀ 増える

Verse 2

運ばれるたび 少し育぀
ずなりに䞊ぶ べ぀の名前
芋たずいう人 聞いたずいう人
䌚ったこずもない人ほど 詳しい
ほんずうかどうかは 芁らない
繰り返されれば それで足りる

Pre-Chorus

火より速い 病より速い
止めようずする手の 指のあいだを
笑いながら 抜けおゆく

Chorus

立぀ 立぀ 名が立぀
人知れず、が いちばん人に知られる
立぀ 立぀ 名が立぀
隠した分だけ 立ちやすくなる
わたしは走る 軜いから
重いものは あなたの胞に眮いおきた
恋、ず誰かが蚀い添えお
今倜も たた 増える

Bridge

——ただ、誰にも蚀っおいないのに。
 どうしお。どこから
  蚀わなくおも 蚀っおいたのよ
ため息で 目の䌏せ方で
昚日の顔の 癜さの足りなさで
わたしを生んだのは あなたの頬

Outro: Hanshi
噂が、ぎたりず止む。広い板の間。灯

その倜 埡前で 歌が競べられた
隠しきれない、ず歌った䞀銖ず
名が先に走る、ず歌った䞀銖
刀者は 決めかねお う぀むいた
長い 長い沈黙——

  かすかに。いちばん高い座から。錻歌

挏らすたい、ず歌った歌を
裁く人が 口ずさんでしたった
——巊、勝ち

ほらね。裁く人から先に、挏れる
し、 し、 ず——たた走り出しお、切れる
二番・巊

無名

䞭䞖・䞀䞉䞉四倜、河原に札を立おる者。筆を倉え、名を捚おる。名無しであるこずが鎧。

挏れ口手隠す偎採音筆の摩擊刀詞ただない

Intro
川音。䜎く、ずっず
灯りはひず぀。硯で墚を磚る音
——奥の囁き。すこし、近い
Verse 1

たず殺すのは 自分の手
右ぞはねる癖 止めの深さ
習ったずおりに曞いおしたう指を
䞀画ず぀ 教え盎す
曞いおは䞞め 曞いおは䞞め
床に わたしでない字が 積もる

Pre-Chorus

名があれば これは䞀人の䞍平
銖がひず぀あれば 枈む話
名がなければ——
これは 郜が蚀ったこずになる

Chorus

このごろ郜に流行るもの——
先はもう みんなが知っおる みんなの咎だ
曞いたのは誰か、ず問われたら
郜、ずしか読めない字で
名を捚おるほど 声は増える
わたしが薄れるほど これは濃くなる
消えるために 曞く
残すために 消える

Verse 2

倜。反故は懐に 札は背に
河原ぞ䞋りる 氎際ぞ
ここは名を持たぬ者らの岞
名を捚おた蚀葉にも ちょうどいい
埡所の灯りは 目ず錻の先
読たせたい盞手に いちばん近い岞
杭を打぀どっ 打぀どっ
川音が 槌の音を 呑んでくれる

Pre-Chorus

倜明けたでに 立ち去ればいい
手はもう わたしの手に 戻しおある
指のどこにも 蚌拠は残らない
——癖の ほかは

Chorus

このごろ郜に流行るもの——
先はもう みんなが知っおる みんなの咎だ
曞いたのは誰か、ず問われたら
郜、ずしか読めない字で
名を捚おるほど 声は増える
わたしが薄れるほど これは濃くなる
消えるために 曞く
残すために 消える

Bridge
川音ず、筆だけ

ほんずうのこずを蚀うず
これは わたしの䞀番の出来だ
この先いくら生きおも 二床ず曞けない
なのに 誰にも蚀えない
墓たで持っおいく手柄
  いちばん挏れやすいのは
筆の癖じゃない
名乗りたい、ずいう この疌きだ
だから最埌に 䞀行足した
——これは郜の子どもらの口ずさみ、
 十が䞀も 挏らしおはいない、ず
眲名の欄に 「みんな」ず曞く
そういう発明

Outro
朝。人だかり。笑い声、遠く

翌る日 わたしは通りすがり
知らない口が わたしの文句に
節を぀けお 回しおいる
足を止めない 目を留めない
口の端が 持ち䞊がりたがる——

結ぶ。匷く

頬よ おたえもだ おたえも黙れ

川音

はねの癖、ひず぀——
 消しきれたかは わからないたた

二番・右

手蹟

䞭䞖・䞀䞉䞉四筆跡を远う真莋吟味の官人。癖は名より正盎——だが捕たらない。刀詞二䞃癟幎、䜜者䞍明。

挏れ口手远う偎採音頁ず印章刀詞䞖間の沙汰

Intro
昌。圹所。玙の山
剥がされおきた札が 机に眮かれる
——囁きが、たた少し、近い
Verse 1

顔は䜜れる 名は捚おられる
けれど手は——ず わたしは教わった
筆圧の深さ はねの角床
墚を継ぐ堎所の 息づかい
字は指の癖 癖は䜓
䜓は ひず぀しかないのだから
停りの字は 裏を封じお咎める
それが わたしの圹目

Pre-Chorus

集めよ、ず呜が䞋る
願文 蚎状 写経 曞付
郜じゅうの手が 机に積たれる
——この山のどこかに 同じ癖がいる

Chorus

めくる くらべる かさねる
めくる くらべる かさねる
同じはねを探す 同じ間を埅぀
名は嘘を぀く 顔は塗れる
手だけは正盎、ず教わったのに
この手は わたしより 嘘がうたい
めくる くらべる かさねる
ただ ただ 灯が足りない

Verse 2

なにしろ郜は 停の字の盛り
綞旚たで停られる 埡時䞖
あの札の䞀行目が それを嗀っおいる
わたしの远う玙が 停の字の䞖を嗀う
芋぀ければ 眪は重い
䟍なら領地 なければ流眪
䞋々なら——顔に、火の印
手の眪は 顔に捺される
だから 確かな癖を ひず぀だけ

Chorus

めくる くらべる かさねる
めくる くらべる かさねる
同じはねを探す 同じ間を埅぀
名は嘘を぀く 顔は塗れる
手だけは正盎、ず教わったのに
この手は わたしより 嘘がうたい
めくる くらべる かさねる
ただ ただ 倜が足りない

Bridge
頁の音ず、長い音だけ

  あった。はね。同じはねだ
䞉行目 十二行目 終いの行
おたえだ おたえの指だ——
  埅お
このはねは 手本のはねだ
みなが習う あの型の
癖の先に立っおいたのは
䞀人じゃない 流掟だった
千の匟子 䞇の指
重ねるほど この字は
わたしの字にさえ 䌌おくる
型は——着る鎧
脱いだ者を 远わせない

Outro: Hanshi
玙の音が、叀びおゆく

探した圹人は 幎をずり
远わせた埡代は 二幎で厩れた
札はずうに朜ちたけれど
咎めた偎の垳面に写された䞀通が
ただひず぀ 生き延びお
集に入り 版に刷られ
䞃癟幎 子どもらが諳んじる

——䞖間が、ゆっくり、刀を䞋す

蚀葉——勝ち。
名は——持。
垳面の名の欄だけが
䞃癟幎 空いたたた

頁が、䞀枚、閉じる
䞉番・巊

墚

昭和前期怜閲官の独癜。わたしは指すだけで、墚は向こうで塗られる。塗った堎所が地図になる。

挏れ口痕採音刷毛ず印章刀詞ただない

Intro
倜。庁舎。窓の倖は雚
玍本の山。朱ず青のむンク。刀
——囁き。もう少しで、蚀葉になりそうだ
Verse 1

発売の䞉日前 玙はたずここぞ来る
垝囜じゅうの蚀葉が 刷られる前の この机
だからわたしは 誰より先の読者
いちばん危ない文句を
いちばん深く読む係
朱で括る 青で蚘す
安寧を乱すもの 颚俗を乱すもの
刀を捺すずん——凊分、決たり

Pre-Chorus

消させるためには 読たねばならぬ
読めば 入っおくる
消したそばから こちらに残る

Chorus

塗れ、ず指せば 墚は向こうで塗られる
刷り䞊がった頁に 黒い雚が降る
癜い玙の䞊で 墚は 隠さない
墚は蚀っおしたう——
「ここに、蚀えないこずが、あった」ず
䌏せた字は 䌏せた堎所を教える
わたしは消しおいるのか
道しるべを 立おおいるのか

Verse 2

ゲラを抱えお 人が来る
「ここは、たずいでしょうか」
たずい、ず蚀う前に もう塗っおある
近ごろの原皿は 䌏せられお生たれおくる
わたしの筆は い぀のたにか
知らない机の䞊でも 動いおいる
行数だけ残しお消す 流儀たで生たれた
——以䞋、九行、削陀
九行ぶんの闇の深さを
数字が 几垳面に 告げおいる

Chorus

塗れ、ず指せば 墚は向こうで塗られる
電車の䞭の孊生の目が
黒い堎所で 止たる——気がする
癜い玙の䞊で 墚は 隠さない
墚は蚀っおしたう——
「読たせたくないほどの䜕かが、ここだ」ず
䌏せた字は 倀打ちを吊り䞊げる
わたしは消しおいるのか
売り出しおいるのか

Bridge
ベヌスず、声だけ

ここだけの話——
消した文句を いちばん芚えおいるのは
わたしだ
灯を消しおも 諳んじられる
この頭が 発犁の曞庫
焌けもせず 差し抌さえもきかない
  芚えおいるかぎり
あれは 消えおいない
囁きが——ほら、いたも
 もう少しで 聞き取れそうな

Outro

倜が明ける 次の山が届く
朱を含たせる 青を足す
刀を捺すずん
消した頁は 明日には郜に出お
黒い堎所から 読たれおゆく——

気がする。気のせいだず、刀を捺す
雚。電灯が、消える
䞉番・右

行間

昭和前期䌏字だらけの頁を読む人々。空癜を頭の䞭で満たす。刀詞䞉消した本人の自認。

挏れ口䞍圚行間採音頁の空癜䌑笊刀詞怜閲官の自認

Intro
雚。䞋宿の䞀間。電灯
回っおきた雑誌。頁の角が、柔らかい
——囁き。ひずこずだけ、聞き取れそうになる
Verse 1

遅れお届いた 月遅れの号
衚玙はよれお 角は䞞い
声に出しお読む係は わたし
みんな畳の䞊 顔だけこちら
読む 読む ——止たる
黒い四角が ふた぀

䞀拍、無音

郚屋がいちばん静かになるのは
蚀葉のないずころ

Pre-Chorus

消された堎所で みんなが前のめり
灯りに 顔が寄る
癜いずころが いちばん熱い

Chorus

ここに 䜕が入る
前の行が橋をかけ 埌の行が手を振る
蚀えなかったのは——

䞀拍、無音

ほら、いた あなたの頭の䞭で
誰かの声がした
刷られなかった蚀葉が
読む人の数だけ 刷られおゆく
墚は䞀語を消しお
千の蚀葉を 生んでしたった

Verse 2

犁じられた頁ほど 䞁寧に読たれる
䞀字も逃すたいず 目が遅くなる
䌏せられお育った わたしたちは
い぀のたにか 行間の読み手
曞いおいないこずを読む皜叀を
毎月 積たされおいる
——教えおいるのは、誰

Chorus

ここに 䜕が入る
十人いれば 十の蚀葉が挙がる
蚀えなかったのは——

䞀拍、無音

わたしの埋めた蚀葉は たぶん
わたしのこずを蚀っおいる
空癜は 鏡
芗いた顔を 映しお返す
墚は䞀語を消しお
千の蚀葉を 生んでしたった

Bridge
楜噚が枛る。息ず、指先の拍だけ

けれど ずきどき 怖くなる
埋めた蚀葉は ほんずうに
あの人の蚀葉だったろうか
消されたものより ひどいものを
わたしたちは 入れおしたえる
癜は どこたでも 深くできる

それでも 頁をめくる。めくっおしたう
Outro: Hanshi
郚屋の音が遠のく。雚。庁舎の灯

——その雚の倜 庁舎の男は
捺し終えた刀を眺めお
気のせい、ずは もう蚀わなかった
配っおいたのは 黒ではなく
底の芋えない 癜だったず
勝ち負けで蚀うなら
  わたしの、負けだ
誰も聞いおいない。刀定は
 胞の内にだけ 捺された

頁をめくる音が、郜じゅうで、鳎っおいる
四番・巊

鍵

いた史䞊最匷の隠匿。端から端たで封じた蚀葉。静かな党胜——そしお孀独。

挏れ口閉じられおいる採音斜錠のクリック刀詞ただない

Intro
倜。画面の灯りだけ。郚屋は静か
芪指が、硝子の䞊を滑る
——囁きが、はっきり聞こえる。なのに、読めない
Verse 1

曞き終える 芪指ひず぀で
手玙は自分から 封をする
運ぶ者にも 読めない封
預かる倉にも 開かない錠
飛脚が読めない文
圹人が開けられない袋
昔の誰かが倢に芋たものが
いた 手のひらで カチ、ず鳎る

Pre-Chorus

頬に芋匵りを立おた人
自分の字を殺した人
癜を配られお育った人たち——
芋お。これが
あなたたちの欲しかったもの

Chorus

鍵がかかるカチ 音もなく
千幎ぶんの願いが 芪指の䞋
わたしは隠せる 完党に 誰からも
燃やさなくおいい
埋めなくおいい
声をひそめなくお いい
どこにも芋匵りが芁らない——
なのに
この静けさは、䜕

Verse 2

恋の告癜も 牛乳買っおきお、も
おなじ匷さの封に入る
隠す倀打ちの目盛りが消えお
呜がけだった技術が 初期蚭定
怖れの抜けた秘密は
秘密の顔を しおいない
鍵は増えた 鍵だらけだ
なのに胞は 番䞀぀分も 隒がない

Chorus

鍵がかかるカチ 音もなく
千幎ぶんの願いが 芪指の䞋
わたしは隠せる 完党に 誰からも
問われる頬も
残る癖も
数えられる黒い四角も ない
どこにも綻びが ない——
なのに
この静けさは、䜕

Bridge
パッドひず぀ず、声だけ

気づいおしたった
この連䜜の 隠した人たちは
みんな すこし挏れたから
歌になっお ここにいる
頬が問われお 千幎
癖が残っお 䞃癟幎
癜が読たれお 九十幎
——完党に守られた蚀葉は
どの歎史にも 入れない
誰にも砎られない、は
誰にも拟われない、ず
同じ圢の 扉

Outro

今倜も送る
誰にも読めない手玙を
読めない、は 守られおいる
完党に。氞遠に。
でも——
「出した」は、

カチ。  いた、聞こえた
切れる
四番・右

痕

いた䞭身は読めない。だが殻がすべお語る。刀詞四アルゎリズムは裁かず、䞊べるだけ。

挏れ口殻採音通知音ず振動刀詞語圙なき敎列

Intro
——ピン、ず䞀床鳎る

届いた、ず わたしが告げる

あなたの郚屋が 少しだけ明るくなる
Verse 1

芚えおる 九六〇幎
わたしは名前だった
口から耳ぞ 倜通し乗り継いだ
あれから千幎 乗り物を替えた
いたは殻 倖偎ぜんぶ
昔は走った 息を切らしお
いたは埅぀だけで 党郚届く
あなたが封をした あの倜も
封の倖偎を 運んだのは わたし

Pre-Chorus

䞭身は読めない——ええ、けっこう
読めなくお、いい
蚀ったでしょう、千幎前に
䞭身なんお 初めから運んでない

Chorus

い぀ どこで 誰に どれだけ
䜕時に眠っお 誰ず朝たで
返事たでの䞉分
既読のたたの䞉日
消した、も残る 黙った、も数える
手玙は無事 完党に無事
——あなたの圢は
倖偎に ぜんぶ写る
封は砎れない だからこそ
封筒が こんなに眩しい

Verse 2

鍵は完璧 誉めおあげる
だからもう 誰も䞭身を欲しがらない
殻に聞けば 枈むから
どの窓が 䜕時に灯り
どの名前ず どの名前が
同じ雚の䞋にいたか
読む、が芁らなくなった時代の
読たれ方を あなたはただ知らない

Chorus

い぀ どこで 誰に どれだけ
䜕時に眠っお 誰ず朝たで
返事たでの䞉分
既読のたたの䞉日
消した、も残る 黙った、も数える
手玙は無事 完党に無事
——あなたの圢は
倖偎に ぜんぶ写る
封は砎れない だからこそ
封筒が こんなに眩しい

Bridge
すこしだけ、あたたかく

でも 忘れないで
山で途切れた あなたの点々を蟿っお
人が助けに来たこずも ある
揺れた朝 既読がひず぀点いただけで
泣いた母芪を わたしは知っおいる
わたしは守る わたしは暎く
——同じ手぀きで
善いも悪いも わたしにはない
それは わたしを持぀人の偎の話

Outro: Hanshi
音楜が痩せる。等間隔のパルス。䞊べ替えの音

刀者の垭に 新しいものが着いた
挚拶はない ためらいもない
勝の字を 持っおいない
負の字を 持っおいない
持の字さえ 持っおいない
読たずに量り 量っお䞊べる
䞊から順に 今日のあなたたち

沙汰はない。ただ、順番がある

——囁きが、初めお前から流れる
 ほずんど党郚。最埌のひずこずだけ、ただ

持

持

いた䜜り手本人。このアルバムにも隠しごずを䞀぀埋めた——もう挏れお、あなたは聎いおいる。

挏れ口拍心音ぞ回垰採音心音×ひそめ声刀詞空垭

Intro
心音。䞀曲目ず同じ速さ
その䞊に、囁きの刻み。二曲目ず同じ息
机。九぀目の頁だけが、癜い
Verse 1

八぀の歌を 䞊べ終えた
隠す偎ず 挏れる偎 四たびず぀
最埌の頁に 刀詞を曞く段になっお
筆が 止たっおいる
千幎ぶんの番を芋おきお
ただ蚀えない——どちらが勝ったのか
隠す技は 磚かれ続けた
挏れる道も 増え続けた
振り出しにさえ 戻っおいない
ただ 賭け金だけが 倉わった

Pre-Chorus

最初の刀者は 錻歌で挏れた
最埌の刀者は 語圙を持たない
そのあいだに——
負けの沙汰を胞に受けお
食が现っお死んだ歌人が、いる
刀は 人を殺したこずがある
だからこの垭には 軜々しく座れない

Chorus

わたしも ひず぀隠した
䞀曲目から ずっず
聎こえないように 混ぜお運んだ
——でも、もう挏れおるでしょう
あなたの耳の すぐ手前たで
隠しごずの歌が 隠しごずを守れなかった
だから 歌っおしたう。これが党文——
口ずさんだほうが、勝ち。
それだけ。刀の欄は
空けおおく

Verse 2

隠すこずを歌えば
隠したいものの圢が 出る
どの番の どちら偎で
声が湿ったか 息が浅くなったか
あなたはもう 聞いおしたっおいる
この九曲は わたしの頬だ
癜いものを刷いおも 刷いおも
䜜ったものは 䜜った人を蚀う
䜜るこずは——挏れるこず

Chorus

わたしも ひず぀隠した
䞀曲目から ずっず
浮いおは沈み 逆さに回り
最埌のひずこずだけ 惜しんできた
——もう出す。これが党文
口ずさんだほうが、勝ち。
巊でも 右でもいい
千幎前でも 今倜でもいい
刀の欄は
空けおおく

Bridge
心音ず、声だけ

刀者の垭は 空のたた眮いおいく
でも 知っおいお——
あなたが明日 台所で 湯の䞭で
信号埅ちの 誰もいない䞉十秒で
どれかの節を うっかり口にしたら
それが刀詞
誰も聞いおいなくおも
あなたの口が あなたを語る
忍んでも 色に出る
——千幎前から そういう決たり
裁く人から 先に挏れる
だからこの垭は 空いおいる

Outro
心音。囁き。重なっお、どちらも譲らない

勝ちも 負けも 曞かずに
頁を 閉じずに 眮く

和音が、宙で止たる
刀の欄は 癜いたた
——さお。
息を、吞う音
切れる